サブプライムローンとは

サブプライムローンとは

最近テレビのニュースや新聞記事などでよく話題に取り上げられていることに、「サブプライムローン」という言葉がありますね。
聞いたことはあるけれど、内容までは詳しく分からない・・という人も多いのではないでしょうか。

「サブプライムローン」という言葉を分けて考えてみると、「サブ」「プライム」「ローン」になります。
「ローン」はよく知られている言葉で、銀行などがお金を貸し付けることを意味しますよね。車やお家を購入する時など、まとまったお金が必要な場合にローンを組んで資金を得た後に、定期的にお金を返済していきます。

「プライム」とは、「優良である」という意味があります。
ここでいう優良とは、優遇された金利でお金を借りることができる高所得者のことを指します。プライムにサブをつけたサブプライムとは、次に優遇された条件の人、という意味でとらわれがちですが、実際にはプライムとはかけ離れた存在であることを意味します。
「サブプライム」とは、収入が少なく、ローンを返済していくことに対して信用性に欠ける人達のことを指します。サブプライムローンとは、つまり、「通常では借りられない人々に対するローン」であるということです。

日本にもサラ金などのようにこれに似たローンはありますが、同じような内容の住宅ローンは存在しません。
サブプライムローンは、アメリカでマイホームを持つことがブームとなった2004年頃から広く普及されるようになりました。
現在では、アメリカで貸し付けられている住宅ローンのうち、約15%がサブプライムローンであると言われています。

サブプライムローンが広められた背景

アメリカで大きな問題となっているサブプライムローン問題は、アメリカだけでなく、欧米や日本の経済事情にまで、様々な影響を及ぼしました。
ここまで被害が大きくなったのは、サブプライムを対象とした住宅ローンが広く普及されたことにあるのですが、それは、当時のアメリカの住宅事情が大きく関係しています。

サブプライムローンは、経済的に余裕のない人でも利用することができる住宅ローンとして、2004年頃から広く普及されていきました。

ローン会社からすると、返済できなくなるかもしれない人々に多額のお金を貸すことは、危険なことだといえるのですが、何故そのようなローンが広められたのでしょうか。

当時のアメリカではマイホームブームで、不動産価格が上昇傾向にあったことが大きな理由です。
サブプライムローンは、ローン開始から数年たつと高金利になるという特徴があるのですが、金利が上がってローンの返済が難しくなってしまった場合でも、不動産の上昇した分を担保にして通常の金利の低いローンへの借り換えをすることが可能だったのです。
また、借り換えをしても返済が難しくなってしまった場合でも、担保にしていた土地や家を処分してしまえば、ローン会社は十分に債権を回収することができたのです。

ところが不動産価格の上昇はやがてピークを向かえることになります。
不動産の価格が上がりすぎて、購入する人の数が減っていき、その結果、不動産の価格が低下していくことになったのです。
ローンを返済することができなくなる人が増え、ローン会社は不動産を売却しても債権回収には至らず、不良債権が増えていくことになってしまいました。

私達の生活に影響を及ぼすサブプライムローン

アメリカのサブプライムローン問題は、アメリカだけでなく欧米や日本の金融市場にも様々な影響を与えています。
まだしばらくはこの問題は続くと考えられていて、今後、さらに色々なところに影響を及ぼすことが予想されています。

現在、私達の生活に直接大きな影響を与えていることといえば、ガソリン価格や、物価の高騰がありますよね。いったいいつまで続くの?と頭を抱えている人も多いかと思いますが、これらの出来事にはサブプライムローン問題が少なからず影響しているのです。

サブプライムローン問題によりアメリカの金融市場は低迷し、「ドル安」が進んでいます。ドル安になっているということは、米ドル価格での交換比率が不利になっているということで、その分供給される原油や資源の価格が上昇してしまうということになっているのです。原油や資源の価格自体が上昇しているのではなく、米ドルの価値が低下してしまったことを意味しています。

その他にも、ドル安は、日本の企業の競争心を奪うことにもつながってしまいます。
ドル安は、つまり円高ということですが、例えば自動車を例にとってみると、1ドル125円の時は、100万円の自動車は800ドルということになりますが、1ドル100円の円高になると、100万円で売るためには、実際には1万ドルで販売しなくてはいけないということになります。これでは企業側のやる気も失せてしまいますよね。日本にとって景気低迷のきっかけとなるマイナス材料となるわけです。

サブプライムローンの様々なサービス(1)

アメリカの景気低迷となったサブプライムローンですが、住宅価格が上昇傾向にあった時期には、サブプライムローンはたくさんの人に利用されていました。貸し手側の販売競争もどんどん激化して、色々なサブプライムローンが出回るようになりました。

様々なサービスが登場し、返済額が一定限度額以上であれば、借り入れ当初の金利は自分で設定できる、などというようなびっくりするようなサービスもありました。
また、サービスとは少し違いますが、借り手の所得を公的な書類などで確認せずに契約する、などという傾向もありました。

所得を証明する書類が全く必要ないローンは「ノードック」ローン、公的な書類で確認した所得よりも、本人が自分で主張する所得の方が多い場合に、本人が主張している所得を認めてそこから融資額を決めるというのが「ロードック」ローン呼ばれるローンです。
それぞれの「ドック」はドキュメンテーション、「記録や証拠」という意味があります。ノードッグは記録や証拠が全くない、ロードッグのローは(低い)という意味を表し、完全に確認できない、という意味があります。

また、所得の確認だけでなく、本当に住宅の取得のためのローンであるのか、ということに対する確認まであいまいになっていきました。

驚くような話ですが、両者とも、住宅価格が上昇し続けていればそれほど問題ではなかったのです。
住宅を売却してしまえば十分に利益を得られる時代であったので、誰が持ち主であろうと関係はなく、貸して側は住宅さえ担保にしていれば安心し、とにかく貸し付けてしまおう、と考えていたのでした。

サブプライムローンの様々なサービス(2)

景気低迷の引き金となったアメリカのサブプライムローンですが、このローンが広められていた時代は、上昇し続ける住宅価格を背景に、様々なサービスを付加したサブプライムローンがありました。

ローン開始当初は驚くほど低い額での返済が可能であったり、所得証明があいまいであったりしてもすんなりと借り入れすることができるなど、びっくりするようなサービスがたくさんあったのですが、自己資金が全くなくても住宅を購入する人も増えていきました。
自己資金がない、ということは、住宅資金の全てを融資に頼るということですよね。
1つのローンから全額融資、というケースは少なかったのですが、2つ3つの住宅ローンを利用して、自分のお金を全く使うことなく住宅を購入する人は少なくなかったのです。
一般的に考えると自己資金が多いほど融資のリスクは少なくなります。
返済額が少なくなることもありますが、借り手の気持ちの面も考えられるのです。
ローンが返済できなくなって家を売却することになった場合、自己資金が多い人ほど自分の損失が大きくなりますよね。
ですから、借り手側は一生懸命に返済を続けようと頑張るわけです。
自己資金が全くない、ということは家を売却することになっても、自分の痛みはそれほどでもない、ということになるのです。
このようなことから通常では、自己資金ゼロという住宅融資はあまり存在しないのです。
ですが住宅価格が上昇し続けていた当時のアメリカでは、自己資金がないことは大きな問題ではないと考えられていました。返済できなくなっても良いよ、という考えがあったのです。

これにより、ますますサブプライムローンを利用する人が増え、どんな人でもマイホームを持つ、ということが可能になっていったのです。

サブプライムローンは「危険なローン」だけではない

低所得の人や信用度の低い人でも、手軽に利用することができるアメリカの住宅ローン、「サブプライムローン」。
たくさんの人が利用したローンなのですが、たとえ住宅価格が上昇し続けているにしても、やはり普通で考えるとそれなりのリスクは考えられるわけです。
ですが「サブプライム」と呼ばれる人々に対するローンは昔からありましたし、日本にも、どんな人でも手軽に利用できる消費者金融は、昔から存在します。

これらのローンは社会的に問題とされるだけではなく、このようなローンに経済的な合理性があることを意味しています。
サブプライムに分類されるリスクの高い借り手に融資した場合、やはり全ての人からは回収できないことが予想されますね。例えば10人借り手がいれば、1人2人からは回収することができないと考えられます。
となると、元本が少なくなってしまうのですが、それは、全ての人から回収する「利息」によってまかなわれます。
ということは、貸し手側からすると、よりたくさんの借り手を集めた方が良い、ということになりますね。

日本の金融機関が大手企業に行う融資の利率は1%にも満たないのですが、消費者金融が設定している利率は15%を超える値になっています。
にもかかわらず、このような消費者金融を利用する人がたくさんいて、消費者金融がきちんとした利益を得ているということは、リスクの高い相手への融資もビジネスとして成り立っている、ということになりますね。
リスクの高い人は融資を受けることができない、というのではなく、それなりの条件で融資すれば金融システムが成り立つというわけです。

アメリカのサブプライムローン問題についても、このローン自体に問題がある、とは一概には言えないということですね。
過剰な融資競争と、ローンの証券化が引き起こした問題であると言えるでしょう。

排除できない「サブプライムローン」

株価の下落を引き起こし、日本の経済事情にも大きな影響を与えている「サブプライムローン」。
収入が少ない人や、社会的に信用のおけない人に対しても、簡単な審査だけで利用することができるローンとして広められたアメリカの住宅ローンです。
当初の数年間は低金利で設定されているのですが、数年後には高金利となり、返済が苦しくなる利用者が多くなります。

金融会社にとっては、大きなリスクを持っているローンですが、日本にもこのようなサブプライムローンに似たローンがいくつか存在します。

誰でも手軽に利用することができて高金利、という点ではテレビCMでも話題にあがっている消費者金融と似ていますが、一般に消費者金融を住宅ローンとして利用する人はほとんどいないですよね。

住宅ローンとしては、主に外資系の金融機関が日本の地方銀行と提携して扱っているものがあります。厳しい審査を必要とすることなく利用できる住宅ローンとして、徐所に業界に進出してきています。

これらのローンはアメリカのサブプライムローンと同様、相当なリスクが心配されますが、ただリスクが高いだけのローンだとは言えない部分もあるのです。

自営業者の人や、新しく起業した人、転職したばかりの人など、返済能力は十分にあるのですが通常のローンでは審査基準に合わず、ローンを利用することができなくて困っている人がたくさんいます。
そのような人達にとっては、このようなローンは大きな役割をもつローンであると言えるでしょう。社会にとって、大切なローンであるということも、よく理解しておきましょう。

サブプライムローンが与えた影響

アメリカのサブプライムローン問題は、不良債権を増やし、株価の下落まで引き起こし、アメリカの経済事情に大きな影響を及ぼしました。
土地や建物の値段の下落が進んでいき、ローンを返済できなくなった人達の住宅が差し押さえられて住宅の販売も落ち込んでいく結果となっています。

このようなアメリカの景気の悪化は、アメリカ国内だけではなく、欧米諸国や日本にまで大きな影響を与えています。

現在の日本の産業は、輸出による利益に頼るところが多くなっていますが、中でもアメリカは日本にとって、大事なお得意様です。
アメリカの景気が悪くなれば、当然輸出の量も減ってしまいますね。
日本企業にとって、大きな痛手となってしまいました。

また、世界中の金融事情にも、大きな不安を与えることとなってしまいました。
お金の動きは常に世界中でつながっています。
アメリカの金融が不安定になると、世界中の金融にも波紋が広がってしまいます。
アメリカドルや株式を運用している人にとっても、高いリスクの下で運用することとなってしまいますね。

日本国内では低金利の状態が長く続いていますが、金利がなかなか上がらない理由もアメリカのサブプライムローン問題が影響していると言えるでしょう。
景気が低迷している時期の金利の引き上げは、企業にとって悪影響となる為です。
サブプライムローンが落ち着いて株価が安定し、景気が上向きになるまでは、大きな金利の向上は期待できないと言えますよ。

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